「走れメロス」を自動要約ツールで要約してみたら想定外の物語になった
長い文章を読むといつも思うのが、誰か要約して短い文章にしてくれないかな・・・
特に小説は、短く要約してくれないかなと夢見ていました。
その夢を叶えてくれそうなツールが発表されました。
ユーザーローカル自動要約ツール
「ユーザーローカル自動要約ツール」はWebサイト上で無償利用でき、入力した文章から重要部分を取り出して要約してくれます。
入力フォームにテキストを貼り付けるか、テキストファイルをアップロードすると、文章構造を分析して特徴語（特徴的な言葉を機械的に抽出した単語）や重要文を自動抽出するツール。重要な文章をマーキングやヒートマップ、モノクロ強調で視覚的に捉えられる強調表示にも対応する。
サンプルにも芥川龍之介「蜘蛛の糸」があるので、小説の要約にも期待が持てます。
早速、小説の要約試してみました。
走れメロスを要約する
要約する作品は以下の基準で選びました。
- 誰でもあらすじを知っている小説
- １万文字以内（ツールの上限１万字のため）
- 著作権が切れている
この条件を満たしたのが、走れメロス。
誰でもあらすじを知っている
言わずと知れた、太宰治の短編小説で名作中の名作です。私も大好きな作品で、何度も読み返しています。 読み返すたびに新たな発見がありますが、いつも王の最後の一言で思わず笑いを誘われます。
1万文字以内
以前、ツイッターの1万文字で「走れメロス」が全文入ってしまうという話がありましたが、 全文で9800文字弱の分量なので、最大限ツールを試すことができます。
著作権が切れている
出力設定
出力の分量は３段階に調節できるので、それぞれで結果を見てみます。
- 「10行ダイジェスト」
- 「5行ダイジェスト」
- 「3行ダイジェスト」
青空文庫からテキストを取得し平文に変換して、まずは出力分量「10行ダイジェスト」で試してみました。
10行で読む、走れメロス
要約結果
「わしだって、平和を望んでいるのだが。、」 王は私に、ちょっとおくれて来い、と耳打ちした。 正義だの、信実だの、愛だの、考えてみれば、くだらない。 私は信頼されている。、私は信頼されている。 待ってくれ、ゼウスよ。、私は生れた時から正直な男であった。 メロスは、いまは、ほとんど全裸体であった。 「フィロストラトスでございます。お友達セリヌンティウス様の弟子でございます。」石工 「もう、駄目でございます。むだでございます」 ほどかれたのである。、「セリヌンティウス。」 ひとりの少女が、緋のマントをメロスに捧げた。
メロスが主人公の物語っぽくなっていますが、話は流れていません。 さらに、元の話からも乖離している感じがします。
あっ、メロス、全く走っていません。
次は5行で試してみます。
5行で読む、走れメロス
要約結果
「わしだって、平和を望んでいるのだが。、」 待ってくれ、ゼウスよ。、私は生れた時から正直な男であった。 「もう、駄目でございます。むだでございます」 ほどかれたのである。、「セリヌンティウス。」 ひとりの少女が、緋のマントをメロスに捧げた。
5行になると王様が消えました。まだゼウス出てきます。重要な登場人物に違いありません。 全体的には散文のようになってしまいました。
最後に3行です。
３行で読む、走れメロス
要約結果
待ってくれ、ゼウスよ。、私は生れた時から正直な男であった。 ほどかれたのである。、「セリヌンティウス。」 ひとりの少女が、緋のマントをメロスに捧げた。
よく意味が分からない要約になってしまっています。なんというかポエムですね。
物語の要約≠あらすじ
少し結果を考察してみると、要約結果の文からは物語の流れが把握できず、 さらに「走る」という重要なキーワードも抽出できていません。 あまり良い結果とは言えません。
原文から重要な文章を抜き出すだけでは、小説のストーリーは抽出できないのかもしれません。 あらすじのようにストーリーを説明するためには、原文中の言葉だけではうまく表現できないためと思われます。 一方で、ストーリー性の必要のないニュースなどには適した技術かもしれません。
まとめ
- 重要な文章を抽出する系の自動要約ツールは小説などの要約には適さない
- まったく別の話になってしまう
- ニュース等の要約には適していそう
- 小説で使えると勝手に思って、私はひどく赤面した。
